smalltalks(Bright Photo Exhibition Final, 2016/09)
Smalltalkは1970年代に開発されたコンピュータ言語で、独立したオブジェクトが、相互にメッセージを交換することで動作します。従来と全く異なる方法論は、コンピュータ技術に大きな影響を与えました。私は10代からコンピュータにかかわり、その発展に沿うように生きています。私が働くモダンなオフィスは数多くの同僚が働き、世界中のオフィスとつながっています。
煌めくようなオフィス街の慌ただしい日常で、不意に誰もいない瞬間に遭遇することがあります。そのとき、私も独立したオブジェクトであり、人々やビルとのメッセージで紡ぐ、儚いつながりが、私の日常なのだと気付きます。
オフィス街の無機的なビルは、膨大な材料、部品、時間、人手をかけて建築され、「社会」の一部として存在しています。そして、そこで活動する人達の生活やビジネスの基盤となり、匿名(anonymous)な製品や情報を作り、再び社会の一部として流通していきます。
私は、このような再帰的で、明確な階層のない、分散したイメージのつながりが、現在社会であり、Smalltalk等のオブジェクト指向の世界感そのものであると感じています。
Smalltalksでは、目の前に現れる光と影を、私へのメッセージに置き換え、再帰的で匿名(anonymous)なオブジェクト指向の世界として、日常を描こうとしています。