Persona(『BRIGHT PHOTO AWARDS 2015, 2015/12)
どんな表情をしていても、横顔であっても、時には後ろ姿であっても、不思議なこ とにその人であることがわかります。これは私たちが、無意識に正面・横・後など、 視点を連続的に移動し、さまざまな角度から見ることで、顔全体のイメージを作りあ げているためです。
私は、このような自然な見方に対して、一度に顔の全体を見たときに、その人だと 認識できるのか、そして印象は変わるのか、という疑問を持ちました。この疑問を解 くために、写真を使って顔全体の連続的な視点をつくり、それを平面化することで、 一枚の写真に収めました。こうしてできた写真は、情報量が増えたためか、普段見慣 れた顔とは少し違ったものとなりました。
私は、人間には、自らが認識する独立した人格という側面と、職業などの社会的属 性で匿名化された、置き換え可能な、言うなれば “ヒト” という側面があり、これら の側面を通じて社会とかかわっていると考えています。
平面化された顔は、顔そのものの情報量が増えたことに加えて、社会的な属性が希 薄になることで、人格のどこか本質的な部分が浮かび上がって来るようです。